経営力向上の為の講演会 〜坂本光司氏が燕三条で語る〜


去る、7月9日(木)19:00より三条・燕地域リサーチコアにて、
7月公開例会 経営力向上の為の講演会が開催された。

最初に長谷川理事長より、「この未曾有の大不況の下で我々は何をして行くべきなのか、
生き残りを掛けてどう立ち向かうべきなのか、特に中小企業の集積地である燕三条地域全体の
経営力を上げるべき、地域の皆様と一緒に考えて行きたいと思います。講師の坂本光司氏は
6,000社以上の企業を訪問した経験から、感動を与える会社数社を例に、語っていただきます。
景気とは、与えられたものではなく、自ら主体的努力で作るもの。パワフルな燕三条に向かって」
との挨拶から7月例会が開催された。

続いて、経営力向上委員会の渡辺委員長より、本例会の趣旨説明がありそのあとに坂本氏による講演会が始まった。

【1.はじめに】

サブプライムローンに単を欲した現在の不況と考えがちであるが、その影響は実は一割か二割で
あって、景気がもたらした問題であれば、不況の後には必ず好況が来る。
しかし、時代が変わった結果でなら待てば待つほど取り返しがつかない問題となる。
自動車産業ではナンバープレートをつけた車は8,000万台、日本の世帯数は4,600万世帯 
で車の保有台数は一件の世帯に限りなく2台に近い車が普及している。
一世帯辺り2、6人に対しておよそ2台普及しているのである。

また、住宅産業がなぜ不況か。バブル期に170万戸造られる能力があったのに今は110万戸しか
造られていない。しかも4,600万世帯に対して住宅の数は5,300万戸もある。住宅のほうが
700万戸多い。その空いている住宅のほとんどが使われていない家なのである。近い将来、年間
50万戸60万戸しか建たない時代になる。
つまり自動車産業や住宅産業は満たされているのである。

不確実な未来を憂うより確実な未来を見て行かなくてはいけない。
高齢化社会や環境にやさしい製品を生産する。
中小企業は価格で勝負する時代ではない。

坂本氏が訪問している会社で今年に入って上方修正を3回行っている会社がある。
その会社は人間の尊厳を高める商品を作っている会社で、とびきりおいしいお菓子を
作っている。
不況は多数が不況なので不況というのだが、必ず一割は景気に左右されず好況の会社は
存在するのである。
「会社は儲けることが目的なのでなく、継続することです。会社とは人々を幸せにするもの。
企業経営とは5人に対する幸せを追求する活動なのです」と説明された。

【3、5人とは】

(1)社員とその家族
(2)下請け企業の社員とその家族
(3)現在顧客と未来顧客
(4)地域住民・地域社会
(5)株主・関係機関
「まずは社員とその家族に対する幸せを追求する。なぜ顧客より大事なのか。自分の会社の社員が
不平・不満・不信を会社に持って仕事をしているのであれば、顧客が満足できるような仕事は
できないのだから。市場を創造するのは社員なのである」と訴えられた。

「4、この会社に学べ」

(1)日本理化学工業
(2)中村ブレイス
(3)伊那食品工業
(4)富士メガネ
(5)ネッツトヨタ南国
(6)樹研工業
(7)オオゼキ
(8)コーケン工業
(9)川越胃腸病院
(10)小ざさ

(1)日本理化学工業 
チョークを作っている会社で障害を持った方々が全体の7割雇用されており、3割の健常者が自分たちの
目の前にいる障害者を幸せにしようと一生懸命になって働いている。
50年前に養護学校の教師が二人の女子生徒を連れて訪れ就職のお願いをした。しかし社長は受け
入れる方法が分からず最初は断ったが、「就職が無理ならせめて働く体験をさせてやってください。
そうでないと、この子たちは働くことを知らずに一生を終えることになってしまいます」という教師の
熱意に2週間だけの職業体験として受け入れた。二人の一生懸命働いている姿をみて従業員たちは
社長に「自分たちが面倒をみるからこの子たちを働かせてやってくれ」と懇願した。
それが障害者雇用のスタートだった。
今は国内のチョークシェア約3割を担う会社になっている。

「5.まとめ」。

「世の為、人の為、弱い人の為の会社にならなくてはいけない。燕とか三条の地がそれをベースとして
世界の人々を幸せにする仕事をして欲しい。この国が他の国に認められるように発信して欲しい」
との言葉で締めくくり、盛大な拍手の中、講演会は終了した。


今回は、坂本氏から非常に多くの想いを頂いた。
その中で、真の経営とは何か、企業は、なんのためにあるのか、ということについて、自分自身考える
きっかけになった例会であった。


                   作成者 : 広報渉外委員会 小林 貴史

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