About Projectプロジェクトの概要

はじめに

「これからの未来も今まで通り暮らしていける。」 そんな事思っている方も多いのかもしれません。

 2040年までの女性減少率が50%を超えるまちを「消滅可能性都市」と言います。燕市と三条市はそれぞれ40.2%、42.0%と該当はしていないものの、ともに40%を超え、ギリギリ「消滅可能都市」に入っていない状態です。

女性が減る ⇒ 子どもが生まれない ⇒ 若者が減っていく

 若者がいなくなれば後継者不足や企業撤退による地場産業の衰退、そして少子高齢化による一人あたりの税負担の増加、さらに全体の人口減ということは行政の税収減少による市民サービスの低下が起きてしまいます。これは遠い未来ではなく、私たち、そして子供たちの世代に確実に訪れる未来です。

 そこで本プロジェクトでは、この地域に住む人々が自分の住むまちに関心を持ち、まちの未来に夢と希望を抱いていただくことが燕三条地域の明るい未来に繋がると考え、「燕三条 Dream Project~ツバサクエスト~」と題してこの地域を舞台としたウォークラリー形式の体験型イベントを計画いたしました。

 スマートフォンアプリの「まちクエスト」を利用し、燕三条の様々な店舗や施設に設置された問題に回答することで、ポイントを取得し、取得したポイントに応じて景品も用意するなど、多くの方々から楽しんでご参加いただけるよう企画しております。休日に家族と出かけるときにもこの地域のスポットへ出掛けるきっかけになりますし、友人と一緒に遊びに行く際にも気軽にお楽しみいただけますので、是非多くのご参加をお待ちしております。

「ツバサクエスト」のストーリー進行状況に応じて、本サイトの資料もより充実していきます。詳細は下記リンクの専用ページからご確認ください。

転機を迎える燕三条 人口減少の抱える様々な課題

2018年現在、燕市と三条市の人口を合わせると約17.9万人となっています。これが2040年になると約、13.7万人と4.2万人、3割もの人々がこの地域から減ってしまうことが統計データ(RESAS 地域経済分析システムより)より試算されております(図2)。この中で2015年から2040年にかけての各世代の振り分けを見てみると
老年人口(65歳以上) 約1,000人増   101.9%

生産年齢人口(15~65歳) 約32,000人減  68.3%

年少人口(0歳~14歳) 約9,000人減   59.1%

であることが分かります(図3)。

図2 人口推移(三条市と燕市の合算)

図3 人口ピラミッド(燕市と三条市の合算)

ここで注目すべきは2015年の20代の人口です。この世代は今後の地域を担っていく世代であると共に、次世代の子ども達を生み、育んでいく非常に重要な年齢層となっています。その世代が2015年では明らかに凹んでおり、その結果この地域に生まれる子どもが減少し、2040年では年少人口も減少しています。この状況が続いてしまうと地域に子どもの生まれない「人口減少の負のスパイラル」を生むことになります。そうなれば地域として衰退していくのは目に見えています。

ではなぜ人口減少が進んでいるのでしょうか。図4で項目別に人口増減の状況を見てみます。

図4 燕市と三条市の項目別人口増減と総人口

図4をみると出生数の減少、そして死亡数の増加によって自然増減が逆転しております。社会増減の転入と転出についてはほぼ同じ間隔で推移していることが分かります。このことから総人口の実績と相計値があらわされていますが、図2と3でもあった通り約14万人になっており、2015年から比べると約4万人いなくなっています。

自然増については先も記載した通り「20代」がいなくなっていることに起因していますが、社会増はどのような傾向があるのでしょう。ここで社会増減に関係する転入転出の理由を図5に示します。

図5 転入出理由(2014年燕市データ)

図5は燕市が調査した転入出データとなります。ここを見てみると職業、つまり就職によっての転入出が一番多く、次いで住居、つまり引っ越しによるものが2番目となっています。あとは学業、つまり進学ですが転出の割合が大きくなっています。就職、引っ越し、進学で住まいを変えるのは10代後半から20代の若い世代に多いことが考えられ、この若い世代がいなくなる事により自然増減の問題につながる事が分かりました。

以上より、20代の人口が増えていけば人口減少の「負のスパイラル」から抜け出す事が出来るという事です。つまり、我々が目指す「明るく豊かな社会」とは言いかえれば「20代の若者が住みたくなるまち」を創り上げることになるのです。そのために総合戦略があり、燕三条ビジョンがあり、燕三条JC宣言があります。

国土交通省が公表している資料でも人口減少がもたらす悪循環について記載されています(図4)。

図6 人口減少の悪循環イメージ図(国土交通省より)

図4を見てもらえばわかる通り、生活面、仕事面、またまちづくりや行政サービスの面でも悪循環を引き起こし、さらなる人口減少が起きるとされています。これは燕三条地域に限ったことではなく、日本全国で今まさに起きている問題です。

この状況を解決していくには、人口減少の原因である「20代」世代が増えていく必要があります。「20代が住みたくなるまち」それを創り上げる事でこの燕三条地域は発展を遂げられます。

20代の住みたくなるまちとは

20代は成人して、学生、就職などの理由で定住します。そして結婚、出産、子供など家族での生活がはじまるタイミングです。他にも、20代は様々なモノやコトへの消費、そして最近のトレンドなどを生み出すのも20代が多いです。このような特徴のある20代を増やすためには、20代が来て住みたくなるようなまちである必要があります。ここで「住みたくなるまち」とは何でしょうか。

図20 20代の必要な情報

住みたくなるまちのポイントは2つです。

①現在住んでいる人の満足度を上げて、他の自治体に住み替えしないようにする。(転出防止)

②ほかの地域から多くの人を呼び込む(転入増加)

上記二つはどちらも「住みたくなるまち」になっていればクリアできます。ではどのようなまちに住みたくなるのでしょうか。右図に最近の「住んでみたい街」のランキングを示します。

ランクインしては消える街と人気を維持し続ける街の差は何か、それは「情報量」です。商店街、商業施設、店舗から行政、個人に至るまで様々な団体、人が、同じ街に関わりながらも異なる情報を発信している街となります。常に発信元は開発事業者、内容は開発情報と単一なものである場合では住んでいる人も飽きてしまい、転入者が増える事は有りません。

つまり、コンテンツの多い街ほど情報発信量が多く、「住みたくなるまち」に繋があります。例えば吉祥寺は、商店街、祭り、飲食店街、イベントなどに加えて、複数の大型商業施設、公園などの情報源となる資源がほかの街よりあり、井の頭公園だけを見ても動物園、花見、アートマーケッツ、公園周辺にある飲食店と様々な要素があり、訪れた人がそれぞれに情報を発信する。結果、自然に情報量が増え、それをマスコミが取り上げ、さらに情報が増えるという形が出来ているのです。

ここで図20に示した20代に必要な情報とこの燕三条地域にある資源を利用した「20代が住みたくなるまち」を考えると

・働きやすいまち   ものづくりを中心とした様々な魅力的な仕事があります。

・暮らしやすいまち   県央地域に様々な商業施設があり、整っていて基幹病院があり医療体制が整っている。

・恵まれた居住環境   自然もあり、子育て支援施設等も揃っていて、祭りなどのイベントも多く開催される。

仕事面では様々な業種が存在し、個性を生かした仕事が出来ます。そして買い物や遊びに行く際にも多種多様な店舗があり、市外に出る必要もなくなります。さらに居住区付近には自然もあり、商業施設のある地域へアクセスも容易になっていることから、暮らしや子育てにとってもよい環境となります。そして、このように若者が来て住みたくなるようなまちは中核市になることで達成できます。

中核市になることで
・効率的な行政の推進
・独自の都市計画
・新たな企業誘致
・社会福祉サービスの充実
というように地域に合わせたまちづくりを行う事が出来るようになります。

Q&A

– 燕三条市のメリット

燕三条市になれば中核市の扱いになり、ビッグシティとして融通が利く部分が出てくるの?(スノーピークの販売店ができるなど)
現状燕市と三条市を足しても20万人以上人口にならないので中核市とはなりません。燕と三条が手を取り合い、その次に近隣市町村と具体的な協議に入っていく形となります。燕三条地域の開発が進めばスノーピークの専門店ができるかもしれません。
燕三条駅周辺の都市計画がスムーズになるの?
同じ自治体になることで一本化した都市計画を行うことができるので商業施設の誘致もスムーズに行えるようになります。
燕三条市の一番のメリットって何?
燕三条駅周辺エリアの都市開発に着手でき、「20代が住みたくなるまち」の地盤を築けるところです。

– 燕三条市のデメリット

広範囲になったときのサービスの格差ができるの?
おそらくその質問は職員の削減を気にされていると思いますが、そのようなことはありません。各サービスは従来通り受ける事ができます。ここで職員の削減自体はされるのですが、実際されるのは財務課など、一つの組織でまかなえるような場合です。各種窓口の人数の変更は基本的にありません。
行政区ごとに計画しているインフラの補助金などが減少する可能性、新潟市の西蒲区や南区のような中心市街以外が置き去りにされる可能性があるって本当?
燕三条エリアでは現在でも燕は弥彦、三条は下田の観光を活かす政策を取っています。つまり中心市街地の開発を進めながら、郊外の資源を活かしてこそ意味のある政策ですのでこのような問題は起こらないと考えます。
三条市の財政状況が悪いのでそれを燕市は嫌がっているの?
確かに現在は燕市の方が財政状況としては良いです。ただ両市とも黒字財政ですし、燕市と比較して悪い、から具体的に市民に悪影響が起きる事はありません。
合併されることで地方交付税に変更はあるのか?
あります。ただし、合併後5年間は燕市と三条市が受け取っている金額がそのまま入ってきます。これは合併における事務手続き者内部処理に時間がかかる事を考慮した措置です。5年以降は10年になるまで少しずつ減っていき、11年目からはその時の燕三条市の状況に応じた交付金額となります。
燕三条市の一番のデメリットって何?
個々の市民や産業で見ると様々あるとは思いますが、まち全体として「これがデメリットだ」という内容はありません。例えば、そもそも感情的に合併に嫌悪感を示している人にとっては、合併そもそもがデメリットですし、両市が一つになることによって、これまで受注していた仕事が無くなってしまうことに不安を抱く人もいることでしょう。

– 中核市のメリット

中核市になることで県の行政がいくつ移管されることになると思うのですが、それを行うことで得られるメリットってありますか?
様々ありますが、一番は都市計画を市独自で考え実行できるようになる事であると考えます。また、それ以外にも、保育所や老後施設などの社会福祉施設の建設認可を市単体で行えるようになります。これらまちづくりに関する権限、施設に関する権限、財政上の権限(地方税の増額補正等)があります。
大学が誘致できるんですか?
中核市になることで県内における燕三条市の存在感が増すため、誘致自体は行いやすくなります。やはり、有名な自治体に学校を置きたいのが通常の考えですから。なお、現在三条市にものづくり大学の開校が決まっています。こちらは市営ということですが、今後中核市になり若者があふれるまちになれば県立、国立大学の建設も想定されてきます。
中核市の一番のメリットは何ですか?
燕三条地域について、となると、燕三条駅を中心とした県央商業特区の開発を行え、20代が住みたくなるまちにする事が出来る。です。

– 中核市のデメリット

デメリットもありますか?よくわからないので…。
市民サービスの向上という観点からするとデメリットありません。ただ中核市になる事で保健所の設置とそこに駐在すaる国家資格を持った専門家を呼ぶ必要があるので、維持費がかかってきます。基本的に地方交付税が増額されるので、その差額で措置されるものと考えていますが、保健所の維持費がどれくらいの規模になるのかは実際に行政が算出を行わないと見えてこない部分ではあります。
自治権が与えられる代わりに役所の仕事が増える。人件費などの増加がおきる?
これまで県が行ってきた権限を市が行えるようになる、つまりそれだけ市でやるべき事も増えるので、市役所の仕事は増えます。そのため必要な人員ももちろん増えていきます。これはメリットデメリットどちらもありますが、メリットだと「雇用促進」、デメリットだと「人件費増」となります。
中核市の一番のデメリットは何ですか?
やはり保健所の建設や維持費になるかと思います。事実上越市ではこの保健所の維持費を理由に中核市への以降を取りやめています。しかしこの費用算出は直ぐに計算できるものではなく行政が具体的に検討する段階になって県や国と調整を重ねながら数字を割り出していくので、現状いくらかかるかは明言できません。なお、増える負担については地方交付税の増額措置でまかなえる部分も出てきます。