社団法人燕三条青年会議所〜志あるところに道あり〜

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2月公開例会〜子ども達の心、ちゃんと見えてますか?〜

2008年2月7日(木)リサーチコア7階にて2月公開例会「親のあり方に関する講演会」開催されました。一般参加者も150名もの方々から参加頂き、会場は、ほぼ満席になるほど埋まりました。

講師の森下氏は、森下神経内科をする傍ら、1986年に不登校児のためのフリースクール『京口スコラ』を開設し多くの子供とその親を見守って来ました。その後、子供達の本当の自立の為には高校卒業資格が必要とわかり、不登校児のための認可高校設立にも力を入れています。2003年には鎌倉青年会議所と出会い子供達が夢を抱き、生き生きと生きてゆく力を育むための育成プロジェクト『鎌倉てらこや』も実践しています。
まず理事長挨拶が行われ、 主に今年度の寺子屋事業の概要等についての御説明がありました。「今年の事業は寺子屋つばさ事業と銘打ち子供達が関わる事業、田植え・4泊5日の100キロウォーク等を行います。寺子屋つばさの「つばさ」の意味は燕市の【つば】と三条市の【さ】を取って寺子屋つばさ事業と致しまて展開いたします。未来を担う、地域の子供達の為に、その同じ地域の私達が頑張らねばならないと考えております。」
嘉瀬理事長の挨拶が終わり、講師の森下氏が御入場され、今回のこの例会を主管している『親の寺子屋委員会』の稲庭委員長より趣旨説明が行われた。「今回は、精神科医でもある森下一氏をお呼びして精神科医からの視点も踏まえた親は子供にたいして、何の為にどのような知識や経験をさせるかを考えた親子のあり方に関するお話をして頂きます。」
いよいよ講演が始まり、物腰の柔らかい口調の中に、強い信念のようなものが聞いている側にも強く伝わって来るのを感じました。お話の前に、昨年嘉瀬理事長から頂いた感銘を受けた一文の紹介がありました。「『志あるところに道あり』今こそ日本の精神的再建が必要であり国なくして国民無し、国民なくして国もなし、国の将来を担う地域の子供達のために我々が本気で取り組んで行動しなければならない。市民の一人一人の意識に語りかけ続ける草の根活動が必要であり寺子屋事業で、子供達に生きる絆を作る場を作ってあげたい。生きる絆を子供達が築けるばを作り、生涯を通じて残るような体験をさせてあげたい」森下氏は「本当に素晴らしい事が綴られていました。これを読み『志あるところに道あり』と言う言葉通り嘉瀬理事長の志の高さに感銘を受けました。」と仰られておりました。
森下氏が挙げる沢山の現代の問題点に、家族間と地域間の関係が希薄になった事をあげていられました。特にバブル期を迎えた辺りから、家族の地域の関係が希薄になり、さらに子供が集団で生きる世界も少なくなってしまった。その事で、大人になる成長過程で周りに見本になる大人がいない。全てが悪い方向に向かって行った事。そんな中で、多くの子供達は親や先生の顔色を見て行動する。本当の人の心は奥底にしまってしまい、大体20年位前から演劇家族や仮面家族等といった家族が増えて来た。良き父、良き母を演じるという事への問題提起、それと共に近所や地域のつながりもなくなって行った。そういった意味で現代は人は、人としての育ちが危ぶまれている学びとは、真似をする事から入っていく。良き人と出会い、その出会いの場すら無くなって行く。こんな環境で育った子供達は、楽な方へ楽な方へ、快楽の方向へ向かってしまう人間に育ててしまう。
 
話の中で森下氏が考える子供達が必要としている事、必要な事とは?

地域で使命感を持ち、大人達が子供達の礼儀や躾けに対して目配りをし、そして深い慈愛をもって接する事で、子供の頃から人の役に立つ事を学ぶ。子供は安心して暮らせる場所を求め、慈悲の心を受けて感謝の心を学んだ時、子供は積極的に活動するようになる。親が子供に伝える事は、今まで生きて来て一番大事だと事を、一生懸命教えて行かなければならない子供達が、自由に自分自身を表現できる場所、大人たちは、子供の自主性を育て、子供達が本当に困った時にてをさしのべるような環境づくり。そんな事を実践している「鎌倉てらこや」や「京口スコラ」についても話がありました。
 
『鎌倉てらこや』

子供達を、精神的に自立した自ら考え自ら行動を起こせる大人に育てる事が目的です。子供、若者、大人の3世代が集い家庭、学校、地域をつなぎ遊びを通して学び、気付きを得て共に成長し合える場。子供達が夢を抱き、生き生きと生きてゆく力と心を育む為の育成プロジェクトで、「親が育ち子が育つ そんな地域を作ろう」を合言葉に人材、文化力、自然環境を駆使し様々な教育プログラムの企画実践をしている。鎌倉てらこやの理念の一つにも、子供達を育てると言う事は一人前の大人に育てる事だと考えております。
※現代は、勉強する事ばかり大事にしていますが、江戸時代の寺子屋は、礼儀と躾けを身に着けていない子度は、文字を書く事を学ぶ資格は無いと言われておりました。そして今、現代に一番かけている部分である「複顔の教育」に力を入れています、子供達は、親だけで育てる事は出来ない。地域の人達の協力が必要になって来る。その環境の中で子供達の倫理観が育つと、森下氏も強く仰られておりました。
 
『京口スコラ』

引きこもり、不登校の子供達が自室を出てもっと開かれた空間で多くの人達と出会い交流し様々な体験をつめる場所を作る為に開設したフリースクール。今まで、家出ひっそりとしていた子供達が、生き生きと生きている。敢えて子供達の好きにさせて何もしない、そして大人が勝手に子供達を評価したりすることの無いばを作る事で、のびのびと自分を表現出来る場、大人は、子供達が本当に困った時に手を差し伸べてあげる事で、そんな環境を作る事で子供達が生き生きしてくる。そんな中で、子供達自ら野球やサッカー等10以上のサークルを、自主的に作って行った。
ここで最後に、公演中にあった「森下氏の幼少時代」と「保育園での一泊お泊り保育」のお話を紹介させて頂きます。
 
『森下氏の幼少時代の話』

戦後間もない貧しい頃、当時高価だった黒砂糖を買って来た物を、母が近所の方に沢山分けてあげる姿をみて、母から「儀」(儀とは盗まない事や、積極的に蓄えて多くの方に施すこと)を学んだ。こういう事をする事が当たり前のと言う意識の確立が今の自分を形成してくれたと感謝しています。またある時には、駄菓子屋に買い物に行って、お釣りを貰って来るのよと言い聞かされて多めにお金を貰って、駄菓子やに行きました、そこで、誘惑に負けて、余ったお金で飴を買って帰ってしまいました。家に帰り、その事を正直母にはなしたら、母が「約束を守らない子は、私の子じゃありません。」と言われ家に入れて貰えませんでした。その後も大きな声で泣き続けましたが、母は全く聞き入れてくれませんでした。大声で泣いていると、近所の方が沢山集まって来て、母に許してあげてと説得してくれました。(この時代は、地域の人達が子供達を守ってくれていた。)それでも母は、家に入れてくれませんでしたが、夜遅くなって、母はそっと中に入れてくれて、優しい表情で暖かい味噌汁と暖かいご飯を食べさせてくれました。母は、本当は家に入れてあげたい自分と葛藤していたに違いありません。ですが、ここで簡単に家に入れてしまったら、この子に約束を守る大切さを教えることは出来ないと思い。心を鬼にして家に入れなかったのだと思います。
 
『保育園での一泊お泊り保育の提案の話』

親御さんに、自分の子供の本当の姿を見て頂きたく提案した保育園で親子で泊まってもらおうおと言う企画をしました。日頃仕事で忙しい、親御さんに、子供達の自由で生き生きしている姿を見てもらうばを作りたかった。実際に行うに当たり、仕事で忙しいと言う理由で、参加されない親御さんが多く、実際に参加したのは、12組程度の親子でした。皆で遊び、カレーを作って食べて、温泉に入り、家で見られない生き生きした子供の姿をみて、親御さん達は参加してよかった。これは参加した者勝ちですね。と言う言葉を聞いて本当に良かったと感じ、この事で、親は保育園に預けっぱなしではいけない事、一緒に参加して、親が子供達を守って行く事、親が子供の事をちゃんと、理解してあげる事が子供達に必要だと感じてもらう事が出来たと感じました。
 
質疑応答

「今の子供達が、学校に期待する事は難しい事かも知れませんが、親と教師が連携すれば現状を打開する事は可能なのでは?」
森下氏は、「現状の学校教育の環境ではそれは難しく、現実に良い先生が学校に少なくなっている事も事実で、教師を取り巻く環境も難しくなっている原状で学校内の良い先生数名だけで孤軍奮闘するのでは難しくもっと広い範囲で、先生同士の連携をしていく事が大切だと仰られました。そしてそれは先生の問題だけではなく、親と先生と地域が一体となって取り組まなければならないと事と、その為に今、地域から発信してその後に、学校との連携をと考えています。」

このような話を聞き、自分達が考えている以上に問題点の根は深い所、20年も前から始まった事が、現代に至っている事を知りました。もっと大きな危機感を持たなければならないと感じたり、再認識させられました。
 

取材者/寺子屋広報渉外委員会 玉木 一朋

 

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