2008年3月7日(木)ハミングプラザVIP三条 グランドホールにおいて3月公開例会が行われた。寺子屋つばさ事業の一環として、株式会社ツールボックス(店舗名:S.H.S)代表取締役 城丸
正
氏をお招きし、後継者育成をテーマに『真の顧客サービスとは』という演目で講演会が開かれた。今回の例会は会員拡大も事業の目的となっており、オブザーバーとして参加した
約40名の新入会員候補者を加え、約100名の参加者が講師の城丸正社長の体験に基づく26年間の会社経営、人材育成の話について熱心に耳を傾けた。
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また、講演会に先立ち、三条税務署 大橋 眞署長、巻税務署 長橋
昇署長より行政手続の電子化に向けての取り組みとして、所得税確定申告における電子申告(e−Tax)利用のPRがあった。
講演会の要旨については、次の通り。
「サービスの本質とは? 従業員の満足とは?」
講演会は、演目である顧客サービスという言葉の意味についての説明から始まった。創業当時を振り返りながら、サービスという言葉の持つ意味は深く、販売店という現場では、当時まだ認識が甘かったと言わざるを得ないと述べた。更に、顧客サービスの満足を支える従業員の満足に目を向けてみると、決して満たされているとはいえない状況であり、目標となる顧客満足までの道のりは程遠い状況であった。目から買え!買え!光線が出ている販売員のいる店で落ち着いて買い物ができるはずがないという結論に辿りついた。
「顧客が求めるもの」
顧客を知ることが大切であり、今どのような変化が起こっているかを考えると、次の3つにまとめることができる。@対応のスピード、A情報の一般化(インターネットの普及による)、Bニーズの多様化である。また、無いモノがない時代、欲しいモノがない時代のなかで、モノだけで顧客の気持ちを動かすことは不可能となっている。気持ちの良いこと、清々しいこと等をどれだけ満たすことができるかが重要となる。
「周りの全ての人たちが幸せな人生を送るための理念」
経営者と従業員が一つになって、仕事に取り組むためには理念が必要であり、常に朝礼等で従業員に話をしていることである。従業員が生き生きと誇りをもって仕事をするようになると、最終的には周りの人たちから信用を得ることができるようになる。これは短い期間でできることではない。
「勇気をもって、早く、他の人がやらないことをやる」
使命感がなかったら経営者を辞めたほうが良い。ビジネスの対象として割り切って販売や製造をすることはできるが、それでは経営者の魂の叫びとして次の世代を担う後継者に伝えることができない。何のために仕事をするのか、誰のために仕事をするのかを従業員と一緒に考えながら経営をしていくことが大切である。若い従業員が自分の仕事に自信と誇りを持つとカッコ良くなる。配送の担当であれば、クロージングの重要性を共有することで意識が変わってくる。S.H.Sにはどこにでもいる様な普通の人間しかいないが、当たり前のことを当たり前にできるかどうかを大事にしている。
「顧客中心の店作り」
従来の家具屋は、全ての人をターゲットとしており、ソファーの展示場所、テーブルの展示場所と売り場が分かれていた。それは売り手側の理論であり、ワクワク感やドキドキ感を演出することができない。S.H.Sではターゲットを絞り、売り場も適正な広さにし、小さなお子様連れの家族や、カップルで来られて入り口のドアを開けた瞬間から非日常が始まるような店作りを心掛けている。
「“幸せ”というキーワードで一番を目指す」
人から人への想いや、人生の大事な節目にかかわることのできるインテリアショップという仕事によって、会社の規模、売上高という一般的な基準ではなく、関わる人たちの“幸せ”という目標に向かって一番を目指して取り組んできた。これは、他の小売、製造業でも当てはめることができるのではないか。従業員には、周りの大切な人への愛情を元とする幸せの実現があって、初めて売上高や数字の話になると伝えている。目では見えない感情を動かさないと、お互いが喜びを感じることができない。
「天からの預かりもの」
会社というものは、二代目、三代目の方からしてみれば、親やその前から受け継いだものと考えていると思うが、従業員や取引先の人たちとの奇跡的な出会いを基準に考えると、天から預かったものと考えることができる。会社は、こういったひとつひとつの出会いの積み重ねにより成り立っている。
最後に、顧客に感動を与えることが最大のサービスであると約90分間の講演を締め括った。(社)燕三条青年会議所 副理事長 谷川
和夫は謝辞のなかで、ごく当たり前のことを実行に移されてきた城丸社長の実行力があったからこそ、現在の成功につながっているのではないか。学ぶべきことの非常に多い講演であったとお礼を述べた。
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