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生活関連サービス

ここでは、人口減少による生活面での影響について考えていきましょう。それには先に記載した商業施設も影響してくるのですが、それは既に記載させていただいておりますので、ここでは公共交通機関について考えていきたいと思います。

 

改めてですが燕と三条市で2040年にどれほど人口減少になるかというと、

2015年、約18万人 → 2040年、13.7万人

となり、約3割もの人口減少となっています。特に若い世代の人口減少が顕著であることから、通勤通学の利用者数が激減する事が考えられます。

下の図を見てわかる通り、そもそも私たちの地域は自家用車の利用率が高い地域です。ただそれでも、通学に利用したり、車を運転できない高齢者が利用したりと公共交通機関は「暮らしやすさ」にとって非常に重要です。

 

利用者が減る事によって、交通事業者の経営状況が圧迫され、赤字路線を廃止せざるを得ないなど、維持が困難な状況に陥ってしまいます。実際、地域鉄道は約8割の事業者が赤字を抱え、乗合バス交通は民間事業者の約7割、公営事業者の約9割が赤字経営となっています。このように全国においても地方圏における交通事業者の経営状態は厳しい状況に陥っており、公共交通の衰退から、今後必要となってくる公共交通サービスを受ける事の出来ない住民が増加してしまう状況となっています。

 

また、そのように公共交通サービスを受けられない場合、自家用車の利用割合が増え、さらに公共交通機関の利用が減ってしまうという悪循環が起きてしまいます。特に高齢者の自動車運転は交通事故の発生件数が増加しており、自動車運転できない高齢者は日常生活において不便な思いをする「買い物難民」になる恐れもあります。

先ほども記載しましたが、自動車を運転できる状況にある人にとっては問題ないようですが、自動車を運転できない高齢者、または核家族が増えている中で共働きでも家族の送迎をしなければいけない人々など、多くの方が日常生活に不便な思いをしてしまいます。

 

新潟県でも年々高齢者の免許保有数は増えてきており、それは燕警察署の調査結果からも同様の傾向が見て取れますが、高齢者が自動車を運転しなければ買い物なども行きづらくなった、とも取れます。

こういった状況を解決するために行政は様々な施策を行っています。下の図は三条市の例です。

 

三条市ではこの問題を解決すべく地域公共交通総合連携計画を策定し、高齢化社会に対応したデマンド交通を開始しました。また燕市でも同様の循環バスを利用した移動手段を提供しています。

 

これについては一定の成果は出てきていますが、そもそもの若者の減少を食い止めないことには根本的な解決は難しい状況です。さらには平成35年に開院予定の県央基幹病院ですが、公共交通サービスの衰退が続いてしまうと病院へのアクセスが不便になり、本来の機能を活かす事が出来なくなります。

 

このように人口減少がもたらす公共交通サービスの衰退は、単純にサービスが無くなるという問題だけではなく、自動車を持っていない若い人たちにとっては買い物などをする際に、核家族で共働きをしている人にとっては家族の送迎で、子育てをしている人にとっては子育て支援施設への移動で、自動車を運転できない高齢者にとっては買い物すら満足にできない状況に陥ってしまい、このままだと2040年の燕三条地域は「住みづらいまち」になってしまいます。

 

ここで、改めて各世代における人口を見てみましょう。

老年人口は横ばいとなっていますが、65歳より下の世代が4万人以上減っており少子高齢化の状況が見て取れます。

 

市の運営に関わる税金は市民から、そして企業から納付されていますが、そこに関わる多くの人が「生産年齢人口」の人たちです。その人たちが約3万人も減ってしまうのです。

このままでは税収が落ち込み、まちの維持に必要な支出を補えなくなってしまう可能性があります。

 

下の図で三条市と燕市の建物と道路の維持費用推移を示します。2015年から2040年両市ともに年間一人あたり約2万円もの費用負担を強いられることとなります。

 

 

 

また、下の図を見ると三条市では2022年頃に、燕市では2020年頃に歳出と歳入の逆転現象が予想されており、今と全く同じようには行政サービスを提供できなくなる可能性があります。また、2040年の歳入歳出額を見てみると、

三条市:2040年 歳入:408億円 歳出:440億円

燕市:2040年 歳入:276億円 歳出:309億円

となっており、三条市で32億円、燕市で33億円の赤字になると予想されていいます。

 

身近な行政サービスとしてひとつ例に挙げると、除雪サービスがあります。除雪予算が少なくなれば今以上に冬の移動が困難になります。また、救急車も例にすると、救急車を1回呼ぶことの費用負担の目安案として、4~5万円と報じている新聞社があります(救急出動1件あたり費用:約50,816円)。この費用を行政で賄う事が出来なくなり、利用者に毎回請求を求められる。そんな事態に陥る可能性もあります。他にも行政サービスは子育て支援や老後の保障など、各方面にわたっており、それらのサービスが縮小、または廃止される恐れがあります。

 

以上より、買い物や各種サービスを受けることのできる施設が少なくなり、仕事を探している人は自分に合う仕事を求め市外に出てしまい、残っている企業にとっては新たな人材が入ってこなくなり、より一層人口減少が進んでしまいます。この状況を解決していくには、先にも記載した通り、人口減少の原因である「20代」世代が増えていく必要があります。「20代が住みたくなるまち」それを創り上げる事でこの燕三条地域は発展を遂げられます。