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一つになった燕三条地域

これまで「20代が住みたくなるまち」にするため、「県央商業地区」にすることで商業面、産業面、また暮らしの面でも効果が出るとお話ししてきました。しかしここで重要となり一番難しい事が、「県央商業地区」プランの土台である、「県央地区をまちづくりの中心」とすることです。理由は簡単で、燕市と三条市の市境だからです。

 

当たり前ですが、燕は燕の、三条は三条の地域の中でまちづくりを行います。そうするとちょうど市境の県央エリアはお互いの行政にとって「中心」と捉えてまちづくりを行いづらいのです

 

ではどうすればよいのでしょうか。家が別にあるなら、一緒の家に住めばいい。つまり「燕三条市」となることが県央エリアを含めたまちづくりにとって最適な方法であると考えます。

 

「2.独自の都市計画」にて「コンパクトシティ」、「集積効果」、「広域連携」についてお話ししました。そのどれもが中心エリアを決定した上で行う手法でしたが、特に「広域連携」については行政が主体となって効率化を図り、行政範囲が広がっても質の低下を図る手法となっています。

① コンパクトシティ

 

② 集積効果

 

③ 広域連携

 

 

広域連携で行政がまとまり、燕三条地域に適した行政サービスを実行し、集積効果で産業を集中させることでランニングコスト削減や情報交流の促進、そして生産力向上を図り、燕三条駅を中心とした県央地区に商業を中心とした施設を集めるコンパクトシティとすることで、多くの人が訪れ賑わうまちとなります。

 

また、燕三条市の先には「中核市制度」も可能性の一つとして見えてきます。

中核市って?
○条件:人口20万人以上
○出来るようになる事(要点のみ)
1.保育園や老人ホーム、児童相談所の設置
2.飲食店や診療所などの営業、開業許可
3.市街地開発、都市計画施設の建築許可
4.騒音や振動の規制地域設定
5.地方交付税の増額補正

 

中核市になることで
・効率的な行政の推進
・独自の都市計画
・新たな企業誘致
・社会福祉サービスの充実
というように、行政の権限が上がるため、これまで記事に挙げさせていただいた内容を実現できる可能性がより上がるのです。

 

上図に示す通り、燕三条市から中核市に移行することで、商業、産業、暮らし、すべてが活性化・充実し、20代の人口が転入増加し、その後結婚・出産することで出生率も増加し、さらに若い世代の年少人口も増加します。人口増の良循環が生まれるため若者が溢れ、子どもから老人まで安心して暮らせる明るいまちになると期待されます。

 

20代人口が増えた時、2040年にどのような人口分布となっているか示したものが下図となります。年少人口と生産年齢人口とともに20代世代が増えていることが分かります。あくまでイメージですが、これは燕三条市となれば実現可能な事です。

 

中核市となった燕三条市 人口ピラミッド

 

以上が2017年に燕三条青年会議所が中核市を目指し、燕三条市実現に向けて運動すると宣言した理由です。これらの未来はあくまでも地域の現状と合併そして中核市になることで得ることのできる権限を盛り込み考えた未来像です。しかし、決して実現不可能な未来ではありません。世界には30年足らずで人口30万人の都市が1,400万人になった事例もあります。そこは20代の人口が65%を占めている都市です。我々は燕三条地域もそれだけのポテンシャルを秘めた地域だと考えます。

 

これまで色々な事例、データを元にお話してきました。最後に、県央商業地区の中心となる燕三条駅、駅名に燕が先に入っているから、駅長室は三条に置く。三条燕インターは住所を燕市に置いて出入口を三条側にする、そんな掛け違いは終わりにして、子ども達が素直に誇れる地域を継承することは今の時代に生きる私たちの使命であるとも考えます。

 

 

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さて、ここからは補足です。
これまでは2040年の未来を考えた内容でしたが、近い未来の燕三条地域も大きく変わってきます。

 

一つ目は4年生大学の「実学系ものづくり大学」の建設です。
実学系ものづくり大学は未来の燕三条を担う若者を育成する事と、三条市総合戦略の「若年(ジャクネン)層を中心とした人口流出」を食い止める」に対する施策の一つとして2021年の開校を目指し、計画されています。

そして二つ目と三つ目は県央基幹病院と、そこで勤務する若者を育成する医療系高等教育機関の建設です。
(医療系高等教育学校:看護学科、歯科衛生士学科、医療事務学科の3学科の予定)
県央基幹病院はER型救命救急センターや地域がん診療病院などの機能を持ち、地域医療支援の拠点となる重要な施設として2023年に開院予定であり、医療系高等教育機関は2020年4月開校予定となっています。

 

2020年:医療系高等教育機関
2021年:実学系ものづくり大学
2023年:県央基幹病院

これらが県央地区に建設されることによって、若年層が地域に残り、またその先の就職までつながり、人口増への効果とともに、暮らしや産業全体への良い効果が期待できることでしょう。

 

今からでも行政は未来を見据えて様々な施策をとっています。

行政に頼るだけではなく、この地域に住む私たち自身が真剣に自分の、何よりも子ども達の未来を考える事が何よりも大事なのではないでしょうか。