理事長所信

 

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回想、そしてその先へ

今思えば、あの時の判断は間違いではなかったと確信できる。あの瞬間、JCは自己研鑽の場であり、JC運動は地域の未来を創れる可能性があることを、事業を通じて肌で実感できた私は幸運だった。そして、卒業までの十数年間をこの組織に身を任せ、普段の生活では学べない事をJCという学び舎で多くの経験を通じて学ぶことができた。今の自分があるのも、先輩諸氏の情熱ある行動を背中で見せていただいたお陰であり、この場をお借りして感謝と敬意を表する次第であります。我々は、受け継いだ先輩諸氏の想いを未来へ受け渡しながら、残された40歳までの時間をいかにして価値あるものにできるのか。若き青年の団体であるJCに求められていることは何だろう。混沌という未知の可能性はいかにして切り拓けるのだろうか。我々が目指している明るい豊かな社会とは。そのようなことに想いを巡らせながら、変革の能動者である気概を持ったメンバーと共に、まだ見ぬ未来に向かって新たな一歩を踏み出してみたい。

 

国際的視野と有機的取り組みによるまちづくり

我々がJC運動を展開する三条市、燕市、弥彦村には約20万人の方が暮らし、命をつなぐ食をつくる農業という第1次産業、日本のものづくりを支える製造業という第2次産業、そして我々の生活に商品やサービスを提供してくれる第3次産業が存在し、各産業が発展することで地域経済が潤い、人々の生活の営みが行われています。各地域で引き継がれているお祭りなどの伝統行事、行政や各種団体が開催するイベントは、祭日の夜道を照らす提灯のように、明るくてやわらかい灯火となってこの地域を照らします。この地域は都会ではないが贅沢と言っても過言ではない多くの地域資源に恵まれているのです。
しかしながら、昨今では人口減少問題が叫ばれ、日本創生会議から発表された消滅可能性都市一覧では、1800市区町村中896の自治体が危機にさらされていることが明らかになり、例外なく我々の地域もその問題に直面しています。労働人口の減少は各種産業に大きなダメージを与え、地域からは活力がなくなり産業からは魅力がなくなる。当然、まちの賑わいも薄れていくことになります。
そのような現状を踏まえ、活力が溢れ賑わいのあるまちづくりと、地域経済の円滑化と人口減少問題を視野に入れたまちづくりの二つに分けて考え、新たな価値を生み出すまちづくり運動を展開していきたいと考えます。五箇条の御誓文には、広く世界に知識を求めと記されています。新たな価値をこの地域に生むために、Think Global、Act Localの発想で、世界からの情報と地域のポテンシャルの融合によるイノベイティブなJC運動によるまちづくりを考えていきましょう。また、この地域の現状を身近で感じている我々が、これまでにない斬新な発想と地域産業の有機的連携による地域経済の未来を切り拓くJC運動とは何かを考えていかなければいけません。現状打破はイノベイティブな発想で切り込んでいける我々青年に与えられた使命なのです。

 

自尊心あるリーダーとして

200年以上に渡り鎖国を続けていた日本は、1854年の開国により各国との国際関係を持つことになりました。それから150年以上経った今、日本は世界第3位の経済大国となり、クール・ジャパン政策により日本の文化が国際的に評価され、2020年のオリンピック・パラリンピックの開催国として国際社会の中での存在感を高めています。それに伴い、英語教育も幼い時期から導入されていますが、言語教育以上に必要なことは、戦後、日本人がどこかに置き忘れてきたと言われている祖国愛の育成ではないでしょうか。日本を創り上げた先人に備わっていた日本の精神を探究することは、これからの地域を創り上げようとする我々の運動に新たな可能性を与えてくれると信じています。
近年の燕三条JCは、近現代史や先人の志を学び、日本人としての誇りを取り戻す運動を展開してきましたが、改めて国際社会の中での日本の力とは何かを探求するために、まずは燕三条JAYCEEが日本人としての誇りと自尊心を確立しましょう。そして、教育現場では伝えきれていない世界に誇れる日本を発信し、次世代を担う子ども達が国際社会で生き残るために必要とされる日本人の力を育む運動を展開します。次世代を担う子ども達には、国際社会でも日本の精神という鎧をまとって活躍する日本人へと育って欲しいと願います。
さらに、この地域の青年経済人が集うJCには、まちづくりを推進する組織としての資質が社会から問われます。2017年に20周年を迎えようとしている我々は、その問いに対し新たな形で答えなくてはいけません。燕三条JCの存在意義とは何か。我々はなぜここまでストイックに自らを奮い立たせ、なんのために事業を遂行しているのか。過去数年で多くの新しい同志を迎え入れた我々は、改めてそのことについて議論を重ねるべき時期を迎えています。
組織の力を100パーセント発揮するには何が大切なのでしょう。ヒト、モノ、カネ、方針、リーダーシップ、フォロワーシップ、情熱、高い意識など、組織論議には限りがありません。一つの正しい答えはないのです。様々な角度から組織の力を検証し、今後我々が進むべき方角を明確に示せる独自の羅針盤をつくり、20周年を迎える2017年度に贈りたい。その先には、自尊心と誇りを胸にしたリーダーが集う力強い燕三条JCがあると信じています。

 

創造力と表現力が新たな価値を生む

田畑が広がる越後平野に金属加工技術が伝わり、今やその名は世界に羽ばたいているTSUBAMESANJO。長年培われた刃物や洋食器、利器工匠具等の製造技術やノウハウ、品質管理レベルは、世界に誇れるものであります。しかしその反面、世界に誇れるまでに成長した産業は、見る角度を変えれば成熟期を迎えています。ものが溢れている時代。安価な製造コストを強みとするアジア諸国。国内の少子高齢化。揺れ動く国際情勢。地場産業とそれを取り巻く環境との因果関係により発生している現状を打破しなくては、成熟産業は次の衰退産業という枠組みに入ってしまいます。
我々は、時代の先駆者である気概を持ってこの現状と向き合い、私たちの地域を活性化するために、成熟した産業に対し有機的連携と創造力によるイノベイティブなアプローチをJC運動として展開していきます。この地域が有する地域資源に創造の力を加えて、青年だからこそ切り拓ける未来を共に創造していきましょう。
また、この地域を担う子ども達の未来についても考えたいと思います。テクノロジーの発展は人間の生活に大きな変化を生み出しました。竹ほうきはお掃除ロボットに変わりつつあり、文章に託した想いが相手に届くまでの時間は数日間から数秒に短縮されました。人力車や馬車で運ばれていた荷物は、水を燃料として走る無人の移動車で運ばれる時代に移り変わるかもしれません。シリコンバレーの先端テクノロジーの動向を見ると、ITの更なる技術革新による情報化社会、そして人工知能を持ち合わせたロボットが活躍する社会の到来といった記事が目立ち、私たちの未来の生活を想像することは容易です。単純な仕事はロボットが行う世の中に移り変わることは、最近のテレビコマーシャルからも読み取れます。今の子ども達は、より進化した高度なテクノロジーと共に21世紀のど真ん中でこの国を担っていくことは確実です。
そのような予測される未来を見据え、子どもの教育に関して世界中で議論されていることの一つに、新たな時代を生きていく子ども達に求められる「21世紀型能力」というものがあることを我々は知っておかなければいけません。そして、「新しい価値を創造する能力」がその一つであることも同様です。まずは、JAYCEEであり、子を持つ親世代である我々がそのような現状を理解し、今の教育現場の姿を把握するとともに、青少年に向けた創造力と表現力豊かな人材育成事業を展開していきましょう。

 

情熱は人を輝かせる

ここ数年の間で多くの卒業生を送りだし、多くの新入会員を迎え入れた燕三条JCは、新鮮なメンバー構成の組織に生まれ変わりました。そしてこれからも多くの会員を迎い入れ、能動的なJC運動を展開していきたいと考えます。私は、若いメンバーがJC運動に意義を見出し、JCの持つ可能性に心が躍動するJAYCEEになって欲しい。そのためには多くの時間を費やし、多くの事業を経験する必要があるかもしれません。しかし、その前にJAYCEEとは何かを知り、JAYCEEとして社会開発と自己開発に挑戦し、自らが率先して行動する姿が周りにポジティブな影響を与えることを信じられるJAYCEEになって欲しいと願っています。
新たな節目を迎えようとしている燕三条JCには、長きに渡り引き継がれてきた志を持った若きJAYCEEの力が必要不可欠です。在籍年数が短くても、JCの運動経験が無くても、設立以来先輩が汗をかいて積み上げた実績と引き継がれてきた伝統を知ることはできます。温故知新の精神を持ち、若いJAYCEEの力を育むオリエンテーションを行い、未来へ手渡す歴史を作りながらこの学び舎で切磋琢磨し、燕三条JAYCEEとして共に輝きましょう。
燕三条JCはインターネットを情報の発信ツールとしていち早く導入し、LOMの事業や燕三条の魅力を全国に発信してきました。しかし、時代は高度情報化社会を迎えています。現代人の一日の情報量は、江戸時代の人の一生分だと読んだことがあります。情報の波をかき分けるように生活を送る我々が住む現代に発信した情報は、一瞬にしてその波に飲み込まれてしまいます。高度情報化社会だからこそ各種発信ツールを生かし、生きる情報を発信するための伝える力の開発を進めなくてはいけません。ターゲットは、スマートフォンを片手に持ち、どこにいても、必要なときに、欲しい情報だけを入手できる、生身の現代人なのです。そんな時代だからこそ、人に伝える力の開発に着手したいと考えます。
輝く人は周囲を照らし、その輝きが増すことで地域を輝かせることができます。人口減少問題や一極集中型社会などを背景として発生した言葉、地方創生。ここに一石を投じる情報発信戦略の一つとして、情熱ある青年の輝きを全国に発信する広報活動を展開し、I、J、Uターンの可能性を切り拓いていきましょう。これは、広い活動エリアを持ち、行動力ある燕三条JAYCEEだからこそ可能とする戦略であると考えます。この地域に住む魅力や働く意義。ここだからこそ見えてくる自己実現や叶えられる夢。この地域には魅力ある青年と彼らの熱い生き様と想いがあります。希望を持った人が集う地域は希望ある地域と呼ばれ、夢を実現する人が集う地域は夢が叶う地域と呼ばれるでしょう。

 

輝くための下地を創る組織運営

全国各地で展開される日本青年会議所や各協議会の運動や大会、燕三条JCが行う事業やそれを構築するための各会議体、それらの能動的活動・運動の情報を取りまとめて調整し、メンバーに伝達する理事会の開催をはじめ縁の下で組織を運営する事務局は、現役の燕三条JCメンバーで構成されています。私は、事務局の地道な組織運営こそがJC活動を支える扇子の要であり、JC運動の結果を大きく左右する重要な任務であると考えます。燕市の研磨職人に聞けば、金属を磨き輝かせるにはその金属の下地が重要であると言います。下地が粗い表面であれば職人の技術をもってしても最高の輝きを出せない。組織運営の下地はまさに事務局の地道な活動そのものであり、そこに意義を見出し行動できた時に初めて、スピード感ある運営と共にJC運動が広がりを見せられるのです。事務局の活動により作られる下地の上に、各委員会の運動が合わさることで、燕三条JCの輝きは一段と増すことができるのです。

 

求められる青年であるために

燕三条JCは、常に時代の動向を見つめ青年らしい斬新な発想と創造力で新たな価値を生み出し、社会へインパクトを与えるまちづくり団体でありたい。JC運動を通じて共に成長できるひとづくり団体でありたい。そんな願いを基本理念に込めて、引き継いだ襷を次へと受け渡す日まで力強く歩み続けたい。この瞬間が会員各位、企業、この地域の未来にとって価値あるものにするために、そして明るい豊かな社会を築き上げるために、JAYCEEである以上、新たな価値を創造し未知の可能性を切り拓こう。21世紀は幕を開けたばかり。時代が我々に求めていることは、英知と勇気と情熱を持ったJAYCEEの未来を切り拓く力である。




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